車線規制とは、一般道路における片側2車線以上の道路で、一般車が走行する車線を規制資器材(矢印板・コーン)で仕切って規制を掛けることです。
規制を掛ける車線によって、その呼称が変わります。
走行規制と呼ぶことが多く、2車線道路では左側の走行車線で規制を掛けることです。
追越規制と呼ぶことが多く、2車線道路では右側の追越車線で規制を掛けることです。
一般道路の場合、一般車が走行する車線の数が4車線以上ある場合があります。そのため、4車線道路において2車線の規制を掛ける時などは2/4規制(4分の2規制)と呼ぶなど、規制する車線の数を使用する場合もあります。
使用するトラックは2tトラックが2台ですが、規制する車線数や場所によって台数が増減することがあります。
規制資器材は、基本的に自社品だけになります。高速道路の車線規制における後尾警戒業務は基本的にありませんが、
“後方”警戒車という車両を配置することがあります。
当日の業務開始前、元請けと当日の業務内容についての打合せを行います。具体的には、規制を行う場所、工事車両の台数や規制箇所へ入る順番、作業内容に対する保安箇所の確認などです。こうした確認業務を行うことで、安全でスムーズな業務を実現します。
出発時には、標識車の積載物(規制資器材)がロープ等で固定されているか確認します。
重量貨物車等の追い抜きの場合を除いて走行車線を走行しますが、万が一積載物が落下した場合に、路肩に飛散して一般車の走行を妨げないようにするためです。
また、積載物によって速度が上げられないため、無理な追い越しで一般車からの苦情が起きないようにするためでもあります。
一般道路では右折や左折の専用レーンがあるため、道路標識や路面標示を確認しながらスムーズな進路変更を行い、一般車の走行を妨げないように注意を払います。
工事箇所の安全を確保する規制を設置しますが、一般車が走行中、いきなり目の前に規制が掛かっていると急ハンドルを切ったりして危険です。
規制を行う箇所の手前から、予告の看板を立てて周知を行います。また、一般車がスムーズに進路変更できるようにしたり、工事箇所であることを示す表示も欠かせません。
一般道の場合、規制設置は許可された時間によって開始します。したがって、元請けや道路を所管する国交省・市町村に対して日々の規制開始連絡(終了連絡も同様)も行うことはありません。
一般道路の場合は、看板を用いて規制を掛けていることを知らせます。看板を設置する場所によって飛散防止対策が異なるため、必要な資材を見極め手際よく準備することが必要です。
また、高速道路と異なり広い路肩が無く、設置中にトラックを停止しておく場所の見極めや、店舗等の駐車場から出てくる一般車の視界を遮らないように、駐車場出入り口付近に設置する看板の位置には十分な配慮が必要です。
工事期間が長く常に同じ場所で行う場合、工事の前日までに看板の常設作業を行うこともあります。
車線規制のテーパー部に設置する矢印板は枚数が多いため、規制資器材を積載したトラックを移動させながら設置することになります。
テーパー部の矢印板は、決められた間隔で設置する必要があります。一般道路のセンターラインは一定の間隔で設置されているので、この間隔を利用して矢印板を等間隔に設置します。
矢印板には土のうを乗せることで、飛散防止処置を施すこととしています。
なお、一般車が走行する車線にはみ出して矢印板を設置することから、追い出し員といって警備員が黄旗を振って一般車の進路変更を促したり、発煙筒を焚いて注意喚起を行います。
標識車を指定された位置に停め輪止めをし、ハンドルを一般車が走行する車線と反対側に切ります。こうすることで、仮に一般車が標識車に追突しても、標識車は一般車が走行する車線とは反対側に飛び出すことになり大事故になることを防ぎます。
標識車の周辺には、工事内容の案内看板、工事箇所である表示板や警告灯を立てます。それらは、土のうを乗せたりロープでガードレールや標識車の車体と結ぶことで飛散防止処置を施します。
車線規制では一般車が本来走行する部分での作業になり危険を伴うので、設置作業中は警備員1名を監視のための保安に必ず立たせ、他の警備員の安全を確保しています。
標識車から工事を行う箇所にかけてコーンを並べますが、この部分を一般的に平行部と呼んでいます。車線規制では平行部が長いので、コーンを積載したトラックを移動させながらセンターラインに合わせて設置をしていきます。
この時、トラックの荷台後部にコーン設置用の足場を取り付け、設置者が乗り込みます。トラックの荷台にはコーンを渡す役目の警備員が乗り、設置者にコーンを渡していきます。
平行部のコーンは等間隔に設置することが必要なため等間隔に書かれたセンターラインを利用しますが、トラックを一定の速度で移動させコーンを受け渡すタイミングを合わせることには熟練した技術が必要になります。
一般道路には、センターラインが破線ではなく直線になっている箇所もあります。そのような場合、コーンの間隔を一定に保つにはガードレールの支柱や遮音壁の幅を目安にすることもあります。
一般道路において、工事車両出入り口看板を使用することはあまりありません。
ただし、看板を設置する場合には、土嚢を乗せるなどの飛散防止処置を施したうえで設置を行います。
規制開始の連絡は行いませんが、工事車両を規制内に入れるため規制設置完了の連絡を行います。その際に、工事車両の台数や順番を再度確認します。
渋滞監視ではなく、この先で工事を行っていることに対する一般車への注意喚起の目的で、軽トラックに表示板を乗せて路肩や歩道に設置することがあります。
工事規制は、そこで工事をする作業員の安全を守るだけでなく、走行している一般車の安全をも守るためのものです。
工事規制へ出入りする作業車両と一般車が接触しないか、一般車はスムーズに走行できているかなど保安・監視を行います。
また、規制の中で作業する作業員や移動する作業車両が、作業に夢中になって規制の外へ出でしまわないかを誘導します。
基本的に工事車両出入り口看板がありませんので、作業箇所を考慮して工事車両を規制内に入れます。
黄旗(黄色い旗)を持った警備員が工事箇所の上流に立ち、工事車両が走ってくるのを待ちます。工事車両が見えると、平行部のコーンを1本抜いて工事車両が入りやすいようにし、次に黄旗を頭上で大きく振って流入箇所を教えます。 工事車両の流入後は、一般車が間違って規制内に入らないように黄旗を振って注意喚起を行い、その後抜いたコーンを戻します。
工事車両は、規制内に入る時に走行速度が急激に下がります。工事車両の後方を走る一般車に注意を与えるため、流入箇所よりさらに上流に警備員が立ち黄旗を振って注意喚起を行っています。
警備員は、黄旗を持って作業箇所の下流側に立ち、作業員と一般車の挙動の監視を行います。作業員は作業に夢中になるあまり規制外からに出てしまいそうになることもあり、そのような作業員には警笛を吹いて注意を与えたりします。
また、一般車の運転手は工事に見とれてしまうこともあります。走っている車両は運転手の視線の方向に向かってしまうことがあり、車両が規制内に突っ込んでくる可能性が有ります。
この場合も、警備員は警笛を吹いて規制内にいる作業員に注意を与えます。
店舗等の駐車場に出入りする一般車や、歩行者・自転車に対する誘導が必要になる場合が有り、必要に応じて人員を増員して配置します。
作業内容によっては歩行者等の通行中に作業を停める必要も出てくるので、作業員・工事車両運転手と事前に合図出しの打合せもあります。
元請けが現場で作業をしている間は、基本的に警備員は作業員の保安作業が中心になります。
しかしながら、規制資器材に飛散防止対策を施してはいても、想定外の強風や一般車の接触などで転倒したり破損することもあります。そこで、定期的に現場内を巡回し、規制資器材の状況確認を行い、必要に応じて規制資器材の復旧作業も行います。
また、車線規制では規制の手前3kmから標識を立てています。これらは作業現場から目視で確認ができないため、必要に応じ警備員1名が現場を離れ看板の転倒確認を行うこともあります。
一日の作業が終わると、工事車両を規制内から離脱させます。これを流出といいますが、一般道路では工事車両出入り口看板が有りませんので、任意の場所から工事車両を規制外へ流出させます。
警備員は平行部のコーンを1本抜いて、工事車両が流出しやすい空間を作ります。走行している一般車の間隔を見切って、黄旗を振り警笛を鳴らして工事車両の運転手に流出の合図を送ります。
この時、一般車の間隔の目安を300mとしており、これより短い間隔では流出した工事車両との追突の危険があります。より安全に工事車両を流出させるためには、一般車の速度と間隔を正確に読み取る必要があります。
工事車両の流出後は、抜いたコーンを戻します。流出後の工事車両は走行速度が遅いため、走行する一般車に黄旗を振って注意喚起を行います。
工事の作業が終了したら、速やかに工事規制を撤去して一般車が走行できる車線に戻さなければいけません。
工事規制を構成する規制資器材を無秩序に撤去しては、かえって一般車の走行を乱すことになるので、手順に従って安全に撤去することが必要です。
規制の起点となるテーパー部から撤去を行うと、一般車から見て規制が終わったものと勘違いをしてしまいます。したがって、平行部の終点からコーンを回収していきます。
コーンの回収は、設置の際と同様にトラックを移動させながら行います。この時、トラックは後進しながらの移動になりますが、平行部のコーンを回収しやすくするために一定の速度を保つことも必要になります。
道路は直線部分だけでなく、カーブを描いている部分もあります。普通車を運転する際でも真っ直ぐに後進させることは難しいですが、直線とカーブを描いたセンターラインに沿って設置されたコーンに合わせてトラックを後進させるのは高い運転技術が要求されます。
標識車の周りには、規制資器材が多く設置してあります。車線規制では普段は一般車が走行する部分に規制を掛けているため、テーパー部の矢印板を残し作業の安全を確保した中で工事案内の看板等を回収します。
この時、回収する警備員を保安するため、警備員1名は必ず黄旗を持って保安作業のために立っています。
テーパー部の矢印板を回収する際は、まず、一般車の飛び込みを防止するため発煙筒を焚いて注意喚起を行うと同時に、警備員による黄旗での車線移動の注意喚起も行います。
また、規制を掛けるための標識車以外のトラックも路肩に移動させ、不測の事態に備えます。テーパー部の回収が終わると、規制を行っていることを示す警告灯や表示板を消灯し、積載物をロープ等でしっかりと固定します。
路肩のある一般道路においては、路肩の中を徐々に速度を上げながら走行し、一般車の間隔を見極めて走行車線へと移動して現場から離脱をします。離脱をする際、全ての警備員がトラックに乗り込んでいるので合図を出してくれる警備員はいません。したがって、運転手自らが一般車を危険にさらさないよう細心の注意を払って離脱を行う必要が出てきます。
離脱時は、一般車の間隔が300mとなる工事車両の離脱の際と同じとしますが、標識車が路肩内を走らせることで走行車線への移動するまでに速度に上げておいてスムーズに走行車線に入れるようにします。
路肩のない一般道路では、規制資器材の撤去が完了するまで警備員1名がトラック後方で黄旗を振って注意喚起を行い、一般車の間隔が300mを確認できたら素早くトラックに乗り込み離脱を行います。
離脱後の走行中は、重量貨物車等の追い抜きの場合を除いて走行車線を走行します。万が一積載物が落下した場合に、路肩に飛散して一般車の走行を妨げないようにするためです。
また、積載物によって速度が上げられないため、無理な追い越しで一般車からの苦情が起きないようにするためでもあります。
一般道路では路肩が無いことが多いため、離脱後に撤去完了の報告を元請けにすることになります。一般道路では、道路を所管する国交省・市町村等に対して日々の連絡を行うこともありません。
現場を離脱した後は、規制開始前に設置した看板の撤去や常設看板の目隠し作業に向かいます。