路肩規制とは、高速道路の路肩部分を規制資器材(矢印板やコーン等)で仕切って規制を行うことです。
通常、2tトラック2台を使用します。1台は規制資器材を積載するトラックで、平行部を設置する専用車を兼ねています。もう1台は標識車と呼び、
工事規制の先頭部分で工事を行っている案内表示を掲示する車両になります。
規制資器材は、NEXCO中日本からの借用品と自社品を使用しています。

元請けと当日の業務内容について
打合せ

当日の業務開始前、元請けと当日の業務内容についての打合せを行います。具体的には、規制を行う場所、工事車両の台数や規制箇所へ入る順番、作業内容に対する保安箇所の確認などです。こうした確認業務を行うことで、安全でスムーズな業務を実現します。

現場へ移動

出発時には、標識車の積載物(規制資器材)がロープ等で固定されているか確認します。

重量貨物車等の追い抜きの場合を除いて走行車線を走行しますが、万が一積載物が落下した場合に、路肩に飛散して一般車の走行を妨げないようにするためです。

また、積載物によって速度が上げられないため、無理な追い越しで一般車からの苦情が起きないようにするためでもあります。

規制設置

路肩規制では、一般車の走行を妨げることはありません。しかしながら、狭い路肩の中で規制設置の作業を行うため、設置を行う警備員が事故の安全を絶えず確認しながら作業する必要が有ります。

トラックからの乗り降りが頻繁に行われますが、路肩は狭いために運転席のドアを開けると走行車線を走行している一般車と接触する可能性が有ります。したがって、たとえ運転手であっても、トラックの乗り降りは助手席側から行う必要が有ります。

1. 規制開始の連絡

路肩規制を開始する場所の500m手前に500m先工事中の標識を立てますが、その際に規制開始の連絡を元請けに行います。

2. 標識の設置

500m先工事中と200m先工事中の標識を順次設置していきますが、強風などで飛散しないようにロープでガードレールと結んで飛散防止対策を行います。

標識自体は、NEXCO中日本から借用している金具でガードレールに取り付けます。

3. テーパー部(矢印板)の設置

矢印板を路肩部分に等間隔で設置した部分をテーパー部と呼び、このテーパー部を設することで規制帯と呼ぶ作業箇所を作りはじめます。

高速道路のセンターラインは一定の間隔で設置されているので、この間隔を利用して矢印板を等間隔に設置します。矢印板には土のうを乗せることで、飛散防止処置を施すこととしています。

4. 標識車および周辺の規制資器材の設置

標識車を指定された位置に停め輪止めをし、ハンドルを一般車が走行する車線と反対側に切ります。こうすることで、仮に一般車が標識車に追突しても、標識車は一般車が走行する車線とは反対側に飛び出すことになり大事故になることを防ぎます。

標識車の周辺には、工事内容の案内看板、工事箇所である表示板や警告灯を立てます。それらは、土のうを乗せたりロープでガードレールや標識車の車体と結ぶことで飛散防止処置を施します。

5. 平行部の設置

標識車から、工事を行う箇所にかけてコーンを並べますが、この部分を一般的に平行部と呼んでいます。コーンを積載したトラックを移動させ、センターラインに合わせて設置をしていきます。

この時、トラックの荷台後部にコーン設置用の足場を取り付け、設置者が乗り込みます。トラックの荷台にはコーンを渡す役目の警備員が乗り、設置者にコーンを渡していきます。

平行部のコーンを手際良く設置するには、幅の狭い路肩でトラックを一定の速度で走らせることが必要です。また、トラックの速度に合わせ、コーンを渡す警備員と設置する警備員のタイミングを合わせることも重要です。これには、数多くの経験を積み熟練した技術が必要になってきます。

6. 工事車両出入り口看板の設置

工事個所の手前に、工事車両出入り口の看板を設置します。工事車両が規制内に入る時は、走行速度が急激に下がります。

工事車両の後方を走る一般車に注意を与えるため、出入り口看板の他に、100m手前に100m先工事車両出入り口という看板も設置します。

これらの看板は、土嚢を乗せるなどの飛散防止処置を施します。

7. 規制設置完了の連絡

工事車両出入り口看板の設置が完了した後、元請けに規制設置完了の連絡を入れます。この時、工事車両の台数や順番を再度確認します。

保安・誘導

工事規制は、そこで工事をする作業員の安全を守るだけでなく、走行している一般車の安全をも守るためのものです。

工事規制へ出入りする作業車両と一般車が接触しないか、一般車はスムーズに走行できているかなど保安・監視を行います。 

路肩規制においては狭い路肩での作業になるので、作業員の動作、工事車両の移動、作業の資材、保安のために警備員が規制内を移動するなど際、少しの油断で走行車線にはみ出てしまう恐れがあるので注意が必要です。

1. 工事車両の流入

流入とは、工事車両を規制内に入れることを言います。警備員は黄旗(黄色い旗)を持って工事車両出入り口看板の位置に立ち、工事車両が走ってくるのを待ちます。

工事車両が見えると、平行部のコーンを1本抜いて工事車両が入りやすいようにし、次に黄旗を頭上で大きく振って工事車両入口看板の場所を教えます。

工事車両の流入後は、一般車が間違って規制内に入らないように黄旗を振って注意喚起を行い、その後抜いたコーンを戻します。

2. 作業箇所における保安業務

警備員は、黄旗を持って作業箇所の下流側に立ち、作業員と一般車の挙動の監視を行います。

作業員は作業に夢中になるあまり規制外からに出てしまいそうになることもあり、そのような作業員には警笛を吹いて注意を与えたりします。

また、一般車の運転手は工事に見とれてしまうこともあります。走っている車両は運転手の視線の方向に向かってしまうことがあり、車両が規制内に突っ込んでくる可能性が有ります。この場合も、警備員は警笛を吹いて規制内にいる作業員に注意を与えます。

作業箇所の下流とは、走っている一般車から見て作業箇所の向こう側のことです。反対に、手前側が上流側となります。

3. 規制の巡回

元請けが現場で作業をしている間は、基本的に警備員は作業員の保安作業が中心になります。

しかしながら、規制材に飛散防止対策を施してはいても、想定外の強風や一般車の接触などで転倒したり破損することもあります。

そこで、定期的に現場内を巡回し、規制資器材の状況確認を行い、必要に応じて規制材の復旧作業も行います。

4. 工事車両の流出

一日の作業が終わると、工事車両を規制内から離脱させます。これを流出といい、工事車両出入り口看板の位置から工事車両を規制外へ流出させます。

警備員は平行部のコーンを1本抜いて、工事車両が流出しやすい空間を作ります。走行している一般車の間隔を見切って、黄旗を振り警笛を鳴らして工事車両の運転手に流出の合図を送ります。
この時、一般車の間隔の目安は300mとしており、これより短い間隔では流出した工事車両との追突の危険があります。
より安全に工事車両を流出させるために、一般車の速度と間隔を正確に読み取る必要があります。

工事車両の流出後は、抜いたコーンを戻します。流出後の工事車両は走行速度が遅いため、走行する一般車に黄旗を振って注意喚起を行います。

規制撤去

狭い路肩の中で規制設置の作業を行うため、設置を行う警備員が事故の安全を絶えず確認しながら作業する必要が有ります。

特に、平行部の撤去では、狭い路肩の中をトラックを後進させながら作業になるため、走行車線へのはみ出しには十分注意が必要になり、高い運転技術が要求されます。

規制撤去の完了後、その旨を元請けに連絡を行います。

1. 平行部の撤去

規制の起点となるテーパー部から撤去を行うと、一般車から見て規制が終わったものと 勘違いをしてしまいます。
コーンの回収は、設置の際と同様にトラックを移動させながら行います。この時、トラックは後進しながらの移動になりますが、平行部のコーンを回収しやすくするために一定の速度を保つことも必要になります。
また、路肩は狭いので、トラックを路肩からはみ出さずに後進させる必要が有ります。

2. 標識車付近の規制資器材の撤去

標識車の周りには資器材が多く設置してあり、撤去には長い時間がかかります。そのため工事案内の看板等を最初に回収、次にテーパー部の矢印板を回収します。
規制を行っていることを示す警告灯や表示板は、警備員が作業を行っている間の安全確保のために 最後まで点灯をさせ最後に回収します。
全ての資器材を回収し、それら積載物をロープ等でしっかりと固定します。

3. 規制撤去完了の連絡

全ての規制資器材を回収し現場を離れる際、規制撤去完了の連絡を元請けに行います。

現場離脱

路肩の中を徐々に標識車の速度を上げながら走行し、一般車の間隔を見極めて走行車線へと移動して現場から離脱をします。離脱をする際、全ての警備員がトラックに乗り込んでいるので合図を出してくれる警備員はいません。したがって、運転手自らが一般車を危険にさらさないよう細心の注意を払って離脱を行う必要が出てきます。

離脱時は、工事用車両を離脱させる際と同様に一般車の間隔が300m離れていることを目安としますが、標識車が路肩内を走らせることで走行車線への移動するまでに速度に上げておきスムーズに走行車線に入れるようにします。

離脱後の走行中は、重量貨物車等の追い抜きの場合を除いて走行車線を走行します。万が一積載物が落下した場合に、路肩に飛散して一般車の走行を妨げないようにするためです。

また、積載物によって速度が上げられないため、無理な追い越しで一般車からの苦情が起きないようにするためでもあります。

標識の撤去と完了の報告

現場離脱後は、直近のインターチェンジで反転し、規制開始前に設置した標識の撤去に向かいます。

標識を全て撤去した後、元請けに標識撤去完了の報告を行います。

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